15日、ウォーレン・バフェット氏率いる投資会社バークシャー・ハザウェイは、保有するゴールドマン・サックス(GS)株を大量売却していたことを明らかにした。証券取引委員会(SEC)に提出した保有株報告書で判明した。
FTによると、バークシャーのGS株持分は昨年末時点で23億ドル分、GS株全体の2.9%を保有していた。20年3月末時点で持分は0.6%未満、わずか190万株まで減少した。
FactSetによると、バークシャーはこの6カ月間でGS株を1,643万株も売却していた。
3月末のGS株は1株=154.59ドルだったので、時価に直すと2億9,372万ドル分しか保有していなかったことになる。
バフェット氏、ゴールドマン株8割売却 金融危機で出資:日本経済新聞
ここに来てバフェット氏の動向が注目されるのは、5月に入って立て続けに保有株を大量売却したことが判明しているからだ。
2日のバークシャーの年次株主総会では保有していたデルタ航空(DAL)とサウスウエスト航空(LUV)、アメリカン航空グループ(AAL)、ユナイテッド・エアラインズ・ホールディングス(UAL)の株式すべてを、13日にはUSバンコープ(USB)株1,630万ドル分を売却していたことを明らかにしていた。
米航空株を全売却したのは4月中とみられ、USBを手放したのは5月11~12日だった。
バフェット氏、米大手地銀株を一部売却 航空株に続き:日本経済新聞
バークシャー、米航空株手放す:日本経済新聞
一方、バークシャーの四半期報告書によると、20年3月末時点で依然としてアップル(AAPL)株を保有していることも明らかになっている。
なお、この時点でバークシャーの株式時価総額は約69%が以下の5社に集中していることになる。
・アメックス(AXP):130億ドル
・アップル(AAPL):638億ドル
・バンカメ(BAC):202億ドル
・コカ・コーラ(KO):177億ドル
・ウェルズ・ファーゴ(WFC):99億ドル
「オマハの賢人」と称され、これまでに驚異的な運用パフォーマンスを記録したバフェット氏の手法が今後も通用する保証はない。ただ、カリスマともいえる人気を博している上に、何といってもバークシャーの保有する株式時価総額の大きさを考慮すると、今後の動向は否が応でも注目せざるを得ないと言っても過言ではないだろう。
ここで注目されるのが、20年3月末時点で最も投資比率の高いAAPLだろう。足許では、米中間の対立が先鋭化の一途をたどっている。
米国が中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)に対する事実上の禁輸措置を強化すると発表すると、中国共産党メディア「環球時報」はAAPLとクアルコム(QCOM)、シスコシステムズ(CSCO)とボーイング(BA)を名指しして「報復する準備がある」と警告した。
China ready to target Apple, Qualcomm, Cisco and Boeing in retaliation against US' Huawei ban: source - Global Times
航空株と銀行株の売却は、バフェット氏が描くコロナ後の新常態でどう映っているのか。また、足元で激化する米中対立の中、保有するAAPLに対して何か新しいアクションを取るのか。
バフェット氏に群がるイナゴたちの動きも併せて、フォローしておきたいところではある。
なお、バフェット氏は前述の年次株主総会の場で、「米国は1860年代の南北戦争や100年前のインフルエンザ大流行、大恐慌などの危機を乗り越え繁栄してきた。突き詰めれば、何も米国を止められない。残りの人生も米国に投資する」と述べていた。
0 件のコメント:
コメントを投稿