2020年5月19日火曜日

足許相場の整理、所見


 世界の主要株価指数が底堅い。下目線の人が多いため、それに反した好材料でショートカバーが発生しやすいとの解説が多く聞かれるが、まぁその通りなんだろうと思う。
 下落したとしても、買えていなかった人がいるため下げにくい。2019年9月以降のラリーと同様の状況だ。

 結局、この状態がなぜ生み出されたかというと、Fed筆頭に各国中銀が半端ない資金を市場に供給しているからに過ぎないのだろう。まず、最初に株式市場に流れる資金は比較的リスク許容度の高いマネーだ。これが相場を押し上げ、リスク許容度の低いLOが乗り遅れる。後はFOMOが完成する。

 とは言え、中々買いに行きにくいのも事実だ。世界経済は20年Q2、過去に類を見ないほどの落ち込みが見込まれている。ただ、これはある程度織り込み済みだ。今の相場は、ここからV字回復ではなく、緩やかな回復を織り込んだ状態にあると見られる。
 その証拠に、株価の戻りが鈍い。
(ここから先は後で実際に指標を見て確認したい)
 日経平均ダウスプレッドは20年始の水準から足許で●●まで縮小した。

 これまで、株といえばまず米株、日本の個人投資家も米株に殺到・・・かどうかは定かではないが、とにかく困ったら米株という風潮さえあったのに、足許では日経平均に後塵を拝する状況にまで落ち込んでいる。

 これは、話を聞く限り、米国におけるCOVID-19の収束見通しが立たないとの前提に基づいていると結論づけて良さそうだ。このことが、米経済の回復を遅らせ、結果としてバリュエーションの高止まりに結びついてしまっている。
 ただ、迫り来るFOMO。説明責任をかろうじて果たせる苦肉の策が「1〜3年後には改善します」というものだ。
 これなら、COVID-19ワクチン、治療薬の開発が少しくらい遅れても売る理由にならない。
 ただ、積極的に上値を買いに行く状況ではないことに変わりはない。

 金は余っている。でも上値は追えない。
 足許の環境下で意識されやすいのが心理的節目。現状、ダウ平均は25,000ドル、S&P500は3000を前に上値の重い展開が想定される。仮に上抜いても戻り売り意欲が強まると想定する。

 ロックダウン緩和→経済活動再開はほぼ織り込まれた印象だ。これ以上、相場のトレンドを上方に押し上げる力には欠ける。

 レンジをもう一段階引き上げる材料は追加の経済対策。
 明確な上昇トレンドへの転換は、ワクチン・治療薬の早期開発。

 開発が遅れれば遅れるほど、いくら致死率が低いとは言え、経済へのダメージはボディーブローのように効いてくる。

 今週、22日に全人代が開催する。米中関係の行方にも留意したい。

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