まず、諸悪の根源となった新型コロナウイルス(COVID-19)は、世界全体で見ると、感染拡大ペースは全く衰えていない。
ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、毎日10万人超の新規感染者が判明している。
ただ、比較的初期に感染が拡大した欧州主要国においては、目に見えて感染拡大ペースの鈍化が伺える。
FTより
ちなみに、イタリアは6月3日からEU加盟国などからの入国制限を撤廃。スペインも7月1日から外国人客の隔離措置を廃止。ドイツも6月15日から欧州29カ国への渡航警告を解除することを決めた。
経済再開に向けた動きが加速する中、3~4月に大幅悪化した経済指標も、底打ち基調が鮮明となってきた。
5月のISMの景況感指数は、製造業が43.1と4月から1.6ポイント上昇。非製造業は45.4で、前月より3.6ポイント上昇した。
ただ、最もインパクトを与えたのは5月の雇用統計だった。市場予想は非農業部門の雇用者数が前月比約800万人減少すると見込まれていたものの、蓋を開けてみれば、まさかの250.9万人増。アメリカの失業率は4月の14.7%から13.3%に改善してしまった。過去最大の減少から過去最大の増加である。
雰囲気を知るには全力2階建の記事「米雇用統計、コロナの谷からまさかのペガサス」を見たほうがわかりやすいかもしれない。
そして、Citigroupが算出するエコノミック・サプライズ指数も6月4日の8.3から5日は66.3と急回復してしまった。
又聞きなので全く信ぴょう性がないのだが、マクロ系HFはシティのこの指数をそこそこ注目しているとかで、これが上向いてくると買い転換するとかなんとか。
ヘッジファンド・リサーチ社が算出するGHF指数のうちマクロ・CTA戦略のパフォーマンスは、ここ数日S&P500などの上昇と逆行していた。やはり株をショートしていたのだろう。
これらの経済指標の改善を受けてロングにポジションを振ってきたらどうなるか。恐ろしい。
と言う事で、ここからバリュエーション無視で買いに来る主体が全くいないとも言い切れない。
下がったとしても驚異の下値買い圧力が発生することも見込まれる。ICIが集計したアメリカのMMF残高は2019年9月末から20年6月3日までに1.3兆ドルも増加した。
この数値推移の恐ろしいところは、2019年9月以降のラリーにも拘らず、MMF残高が増加していた点だ。そして、最新データによると、増え続けたMMF残がついに減少に転じ始めた。6月3日時点では先週5月27日時点に比べ363億ドルも減少した。
言わずもがな、Fedの隠れQEからのインフィニティQEのせいである。なお、FRBのBS残高は19年9月末から20年6月3日までに3.3兆ドルも拡大した(ヤバすぎんだろ)。
最近はバリュエーション無視で買われてきたが、良すぎた雇用統計のおかげでこの動きに拍車がかかりそうな気もする。レンジとして意識されてきた水準も軽々突破か。
そして、冬にかけてCOVID-19の第2波が来るのではと言う不安から、すぐに財政・金融引き締めに動けない。そもそもインフレ機運が全く盛り上がっていない(BEIの見方、小生全く自信がないので割愛)。
大統領選までワクチンの開発に進展が見られなくても、もはや材料視されなくなってしまった印象だ。これが究極のゴルディロックスか。
懸念材料があるとすれば、ここからニューマネーを投入して株を買う主体は足が速いということだろうか。ダメだと思えばすぐに方向転換する。それこそ、バリュエーション面から買いを入れ長期保有を前提とする主体とは相反する。
短期的に何を見るべきかと言うと、買っている主体がどこか、どういう意図をもって買っているか(短期か長期か、景気回復にかけているのかモメンタムにかけているのか)と言ったところだろうか。
ほかに見落としている懸念材料はないか。…それは走りながら考えたい(=わからない)。
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